本研究は、株式会社ポーラが実施した、別府温泉の美肌作用を肌科学的に分析し、温泉を中心とした新しい美容体験を提案することを目的としている。
### 1. 研究の背景・動機・目的
温泉の持つ温熱効果やリラックス効果に加え、その「薬理効果」、特に「美肌作用」に着目した。美肌の定義を「不要な角層や皮脂の除去、あるいは肌表面の角層状態に着目し、肌の健やかさを目指すこと」と設定し、温泉のスキンケア効果を科学的に実証し、体系立てて分類することが動機とされた。
### 2. 研究手法・実験設計・データ収集方法
2025年7月、別府温泉の10施設(2024年実施分と合わせ計13施設)から、利用者が肌に触れる「浴槽に注がれるお湯」を採水した。分析には、1回の入浴で実感する作用を確認するため、肌科学研究に基づいた4種の評価法を実施。特に「角層細胞への作用」と「皮脂を取り除く作用」を詳細に検証した。実験条件は、入浴温度41℃、入浴時間10分間を模倣。角層細胞への影響は染色・顕微鏡観察で、皮脂への影響は人工皮脂(オレイン酸)を用いた残存量評価(オイルレッド染色)で検証された。
### 3. 主要な結果・発見・数値データ
角層・皮脂への作用に基づき、温泉のスキンケア効果を分類した結果、別府温泉には7つの美肌泉質分類のうち**4種の美肌泉質**が確認された。確認された作用には、「不要な角層細胞がはがれやすくなるクレンジング効果」「角層細胞が大きくなり保護力が高まる効果」「はがれ具合が調整されうるおい力が高まる効果」「不要な皮脂を取り除くクレンジング効果」などが含まれる。具体的には、「メルティング浄化温泉」「美整リペア温泉」「バリア・オアシス温泉」「ほぐしブースター温泉」といった分類が確認された。
### 4. 考察・議論・含意
別府温泉は泉質が豊かで、美肌作用がバランスよく存在することが実証された。この分析結果に基づき、各温泉施設の特性に合わせた「温泉を中心にした美肌磨き」を開発。例えば、皮脂除去作用が高い施設では湯あがり後の保湿ケアを、角層調整作用が高い施設では化粧水・乳液による健やかな肌づくりを推奨するなど、入浴法と連動したパーソナライズされたスキンケア提案が可能となった。
### 5. 結論・今後の研究方向性
本研究により、別府温泉10施設の美肌作用が肌科学的に分析され、4種の美肌泉質が確認された。今後は、この科学的知見を活かし、新しいPR戦略や旅行プランの企画開発に繋げることが期待される。
### 6. 論文の学術的・実践的意義
本研究は、温泉の薬理効果を伝統的な評価から脱却させ、現代の肌科学(角層・皮脂分析)を用いて客観的に評価・体系化した点に学術的意義がある。実践的には、温泉利用者に具体的な美肌効果を提示し、入浴後のスキンケアまで含めた包括的な美容体験を提案できる点で、観光振興および美容サービス開発に大きく貢献する。
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