【九州大学】みょうばん温泉入浴は腸内細菌叢を改善し、短鎖脂肪酸を増やす(論文掲載・発表日:2025 年10⽉18日)

#腸内細菌

本研究は、明礬温泉入浴が健康な個人の腸内細菌叢組成および短鎖脂肪酸(SCFA)濃度に及ぼす影響を評価することを目的としている。
### 1. 研究の背景・動機・目的
健康な個人における腸内細菌叢および関連する代謝アウトカムに関する研究は、依然として乏しい状況にある。温泉入浴が腸内環境に与える影響を科学的に解明し、温泉の健康効果を客観的に評価することを動機とした。特に、別府市の明礬温泉に着目し、その入浴が腸内細菌叢と代謝産物に与える影響を検証することを目的とした。
### 2. 研究手法・実験設計・データ収集方法
健康な成人男性16名(n=16)を対象に、**2週間にわたり明礬温泉入浴を4回**実施した。介入前後に糞便サンプルを採取し、**16S rRNAシーケンシング**により腸内細菌叢組成を分析した。また、**ガスクロマトグラフィー質量分析法**を用いて有機酸濃度を測定した。温泉入浴の効果は、ウィルコクソンの符号付き順位検定を用いて介入前後を比較することで評価した。試験登録番号:UMIN000055229(遡及的登録)。
### 3. 主要な結果・発見・数値データ
明礬温泉入浴後、有益な腸内細菌である*Bifidobacterium*、*Blautia*、*Anaerostipes*が入浴前と比較して有意に増加した(それぞれp=0.0012、p=0.0103、p=0.0017)。一方、*Parabacteroides*、*Alistipes*、*Oscillibacter*は有意に減少した(それぞれp=0.0125、p=0.0215、p=0.0125)。代謝産物に関しては、酢酸、プロピオン酸、酪酸を含む**短鎖脂肪酸(SCFA)の有意な増加**が観察された(それぞれp=0.0067、p=0.0125、p=0.0302)。
### 4. 考察・議論・含意
明礬温泉入浴は、有益な腸内細菌の増加とSCFA産生の促進を通じて、腸内環境を改善する可能性が示唆された。SCFAは腸管バリア機能の維持、免疫調節、エネルギー代謝に重要な役割を果たすことが知られており、その増加は全身の健康状態改善に寄与する可能性がある。この分析結果に基づき、明礬温泉の特性を活かした「腸活プログラム」の開発が期待される。
### 5. 結論・今後の研究方向性
本研究により、明礬温泉入浴が健康な男性の腸内環境を改善する可能性が示唆された。有益な細菌およびSCFAの増加は、腸内環境の調節を通じて健康状態の改善に寄与する可能性を示している。今後は、女性や高齢者を含むより大規模なコホートでの検証、および長期的な健康アウトカムとの関連性の評価が求められる。
### 6. 論文の学術的・実践的意義
本研究は、温泉入浴が腸内細菌叢だけでなく代謝産物(SCFA)にも影響を与えることを実証した点に学術的意義がある。健康な個人を対象とした温泉介入研究として、基礎的なエビデンスを提供している。実践的には、明礬温泉の腸内環境改善効果を科学的根拠として提示できる点で、**ヘルスツーリズム振興および温泉地の健康サービス開発**に貢献する。

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論文内容(テキスト)